ローマは、計画していない瞬間にこそ面白いものに出会う。
スペイン広場で、足を止めた。
人だかりの中心から、明らかに異質な音が響いてくる。
見てみると、そこにあったのはドラムセットではない。
バケツ、缶、ガラクタのようなもの。
それを叩いている一人の男。
けれど、その音は“ガラクタ”の域を完全に超えていた。
リズム、スピード、構成。
すべてが圧倒的で、思わず見入ってしまう。
孤高のドラマー、ダリオ・ロッシ。
調べてみると、ストリートから生まれた実力派で、
すでに知られた存在だった。
ローマという街は、こういう瞬間が自然に転がっている。
歴史的建造物だけではない。
いま、この瞬間に生まれている表現もまた、この街の一部だ。
整えられた舞台ではなく、
通りの真ん中で、偶然出会うパフォーマンス。
それが、より強く記憶に残る。
観光ではなく、体験。
ローマは、その境界を軽く超えてくる。
スペイン広場で出会った、ひとつの衝撃。
Dario Rossi。
街がステージになる、その象徴のような存在だった。
