神はここにいる、マラドーナとナポリの食卓<イタリア・ナポリ>/Napoli

ナポリでは、
神様は教会だけにいるわけじゃない。

港の近くの一軒の店。
美味いと評判のレストラン。
でも、それ以上に印象に残るのは、
店主のキャラクター。

店の隅に、
ひとつの“祭壇”がある。

マラドーナ。
ディエゴ・マラドーナ。

この街にとっては、
サッカー選手ではない。
英雄であり、
象徴であり、
ほとんど神だ。

ナポリの全盛期を築いた男。

背番号10は永久欠番。

彼が亡くなったとき、
この街は本気で沈んだはずだ。
その存在が、
今も日常の中に置かれている。

 メニューを見ると、
“今日の一皿”にその名前。

「Maradona」

料理に名前が付く。
それだけで、
この街の距離感が分かる。

これにするか?と店主

他におすすめはある?

返ってきたのは、「タコだ」

最近は豊漁で、
素潜りで獲ったいいタコがある。
今日はシチリアのタコだぞ。

じゃあ、それだ。

Maradonaじゃなくていいのか?

そんな顔をされる。

でも、タコなんでしょ?

そうだ、タコだ。

じゃ、タコだ。

この街では、
その日の最良を選ぶ方が正しい。

出てきた一皿。

シンプルで、
力強い。

素材の良さが、そのまま出ている。

ナポリの食は、
物語と一緒に出てくる。

神の名前も、
海の恵みも、
同じテーブルに並ぶ。

ここでは、
特別なことじゃない。

それが、
ナポリという都市だから。

 Napoli.
神も、日常に降りてくる。

Casa Buonocore
Via Giorgio Arcoleo 39 – 41, Napoli, Italy

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