ポンペイ第2章『最後の希望』<イタリア・ポンペイ>/Pompeii

都市は、壊れた。誰もがそう思ったに違いない。
でも、本当に壊れたのだろうか。

火山灰が街を覆ってしまいました。
屋根を潰し、あらゆる命を奪い、
都市を地中へと埋めてしまいました。

ここまでは”災害”だ。

が、その先が違った。
火山灰は雨を防ぎ、風を防ぎ、光を遮る。

だから色は褪せず、木は朽ちず、壁画の色は残り、

パン屋も浴場も洗濯屋も居酒屋も、2000年前の日常をそのまま眠らせた。

何より驚いたのは、壁に残された無数の落書きです。

「次の選挙には○○候補を。」
「○○は最高の剣闘士だ。」
「《下ネタPトーク》」

そして、「愛してる。」

恋文も、政治広告も、下ネタも、
まさか2000年後に誰かに読まれるなんて思ってもいなかっただろうな。

そんな誰にも見せるつもりのなかった言葉まで、
2000年の時間を越えて今も読まれている。

普通なら最初に消えるはずのものなのに。

でも、一度すべてを覆った火山灰が、皮肉にもそれらを守り続けたっていうね。
破壊したのは火山だったけど、守り保存したのは、火山灰だったっていうね。

希望とは、最初からそこにあるものではない。
時に、絶望が積み重なった先で、静かに姿を現すから人生は楽しい。

ポンペイは、失われた都市ではない。
希望が1700年間、眠っていた都市だった。

つづく

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