ヴィエトリ・スル・マーレは、
器の街だ。
皿。
壺。
タイル。
街を歩けば、
至るところに色がある。
そして、
どれも海の色をしている。
器とは本来、
“何かを入れるためのもの”、だ。
水を入れる。
料理を盛り付ける。
花を生ける。
でも、ヴィエトリの器には、
海の記憶が入っている。
陶器は、
土を焼いてつくられる。
その表面を、
釉薬が包み込む。
焼成によって生まれる
薄いガラス質の層。
その層が、
光を受け、
反射し、
色を生む。
とりわけ印象的なのが、
青。
アマルフィを象徴する、
深い海の色。
かつて海洋交易によって栄えた
アマルフィ。
海は、
富を運び、
文化を運び、
技術を運んだ。
そして、
その海を見続けてきた
ヴィエトリの職人たちは、
海の色を、
器の中に残した。
だから、
この青は、
ただの青じゃない。
光があり、
海があり、
交易があり、
職人がいる。
そこには、
長い時間の層がある。
海の記憶を、
閉じ込めた器。
景色は、
その場所に残る。
でも、
器は、
人の手から人の手へ渡っていく。
そう考えると、
器は、
物を入れるものではなく、
記憶を運ぶ船なのかもしれない。
Vietri sul Mare.
器は、
記憶を運ぶ船になる。
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