ナポリを早朝に出る。
サレルノから船に乗り、
アマルフィへ。
海から近づくと、
この街が、
どんな場所につくられたのかがよく分かる。
平地がほとんどない。
海。断崖。
そのわずかな隙間に、
街が張り付いている。
“世界一美しい海岸”
アマルフィは、そう呼ばれる。
でも、その美しさは、
“絶景”だけを指しているんじゃない。
人は、
この場所で暮らすために、
崖を削り、
石を積み、
段々畑をつくり、
港を整えた。
自然に逆らうのではなく、
自然と折り合いをつけながら、
暮らしをつくってきた。
海と生きるための知恵のカタチ。
それが、
アマルフィの美しさなんだと思う。
かつて、
地中海交易で栄えた海洋共和国アマルフィ。
人々は海へ出て、
モノを運び、
文化を受け入れ、
富を築いた。
海は、
この街を隔てるものではなかった。
世界とつなぐ、道だった。
斜面に広がる、
レモン畑。
オリーブ畑。
ブドウ畑。
それもすべて、
この土地で生きるために積み重ねてきた営みの続き。
美しいのは、海だけじゃない。
断崖に街を築き、
海へ漕ぎ出し、
この土地で生き続けようとした、
人の知恵そのものが美しい。
だから、アマルフィは、
“絶景”だけでは片付けられない。
自然と人が、
何世代にもわたってつくり上げてきた風景。
それこそが、
この場所が世界遺産である理由なんだと思う。
Amalfi.
人は、ここまでして海と生きた。
暮らしそのものが、
世界遺産だ。
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