ヴェネツィアには、
二つの、
“職人の島”がある。
どちらも、
世界に誇る島。
まずは、
Murano
ムラーノ島。
ヴェネツィアングラスの故郷。
13世紀末、
火災の危険を理由に、
ヴェネツィアのガラス工房は、
ムラーノ島へ集められた。
それから、700年以上。
火を操り、
ガラスを溶かし、
吹き、
削り、
色を重ねる。
職人から、
また次の職人へ。
技術は、
何世代にもわたって
受け継がれてきた。
ガラスづくりは、
ただの工芸ではない。
海洋国家ヴェネツィアにとって、
世界へ輸出する、
重要な産業でもあった。
そして、もうひとつ。
Burano
ブラーノ島。
世界でも有数の、
カラフルな街並み。
赤。
青。
黄色。
緑。
水辺に、鮮やかな家々が並ぶ。
この色にも、理由がある。
霧の深い日でも、
海から帰ってきた漁師が、
自分の家を
見つけられるように。
そう語り継がれている。
そして今も、
好き勝手に、
家の色を変えられるわけじゃない。
この街の景観として、
色は守られている。
つまり、
この美しい風景も、
最初から、観光客のためにつくられたものではない。
ここで暮らすために生まれた知恵が、
いつしか、
世界中の人を惹きつける
風景になった。
ムラーノは、
“光”をつくる島。
ブラーノは、
“色”を育てる島。
火から生まれた光。
暮らしから生まれた色。
どちらも、
長い時間をかけて、
この土地の文化になった。
Venezia.
美しいものは、
美しくしようとして
生まれるとは限らない。
必要だったものを、
大切に受け継いだ先に、
美しさは、
残るのかもしれない。
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