ヴェネツィア最終章『ぼくらの旗』<イタリア・ヴェネツィア>/Venezia

ヴェネツィアは、沈みかけている。

それは、遠い未来の話ではない。

南極の氷が溶けていると言われても、

実感できない人は多い。

でも、

この街のニュースに触れると、
危機は急に自分たちの暮らしとつながる。

いったい、

私たちは22世紀へ何を残せるのだろう。

無駄な開発をしない。
まだ使えるものを壊さない。
必要以上に作らない。
同じものを大量に並べない。
便利さのために土地の色を消さない。

それは、我慢ではない。

22世紀への想像力、そして投資だと思う。

「ヨーロッパを旅するVase」を通して、

私は、たくさんの光に出会いました。

教会のステンドグラス。
ヴィエトリ・スル・マーレの釉。
ムラーノ島のガラス。

同じ光なのに、
通り抜ける素材によって違う色に輝く。

もし世界が、同じもので溢れたら。

光はきっと、同じ色にしかならないだろう。

大量生産された、色のない未来。
この旅で見てきた光は、

そんな未来への警鐘だったのかもしれない。

「どうしたら、この街は残るのだろう。」

それは愚問でした。

そんなの大言壮語の何者でもない。

壊す前に考える。
つくる前に考える。
捨てる前に考える。

別の使い方はないか。
まだ続けられないか。

その小さな選択の積み重ねが、

数百年後、数千年後に評価される
文化になるんだよ。

日本は、時間を短縮する文化になりました。

ヨーロッパは、時間を積み重ねる文化です。

22世紀へ残すべきものは、

新しい建物や時間を消費する社会ではなくて、

時間を積み重ねられる街、時間が価値になる街です。

そして、

世界が同じ色に染まることなく、

それぞれの色で輝き続ける未来。

それが、私たちの旗だ。

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