SardegnaCosta Smeralda / Capriccioli
エメラルドグリーンの海、
澄み切った空、
揺れる波。
幾層もの青が重なり、
透明な光がVaseを満たしていった。
A vase travels through European landscapes.
霞がかった白を宿した、透明なVase。
その器とともにヨーロッパを旅した。
海や街、石や水、そして人の営み。
各地で受け取った光は、旅を終えたあと、
七つの光として姿を現した。
この旅に同行したVaseは、
透明なガラスでも、
白いガラスでもない。
オパールのような光を宿すガラスである。
透明と乳白のあいだに漂う、
霞のような白。
ABUKUはその質感を、
Opalescent Glassと呼ぶ。
海のそばでは水と空を映し、 石の上では時間の陰影をまとい、 植物の中では風と緑を受け取った。
Vaseはヨーロッパを歩きながら、 土地ごとに異なる光を内側へ滲ませ、 一度として同じ色にはならなかった。
オパールは、
光を内部に抱き込む鉱物として知られている。
青、緑、黄、琥珀、紫、赤。
見る角度によって揺らぐ光は、
一つの色へ定まることがない。
ABUKUのVaseもまた、
光を表面で反射するだけでなく、
周囲の景色を内側へ受け取り、
霞のように滲ませていく。
19世紀ヴェネツィア。 ムラーノ島の職人たちは、 オパールのような光をガラスで再現しようとしていた。 それが Opalino(オパリーノ) と呼ばれる乳白ガラスである。 透明ではない。 不透明でもない。 その曖昧な白は、 ABUKUが目指す光とどこか重なっている。
Paris、Orléans、Sardegna、Napoli、Pompeii、
Amalfi Coast、Ischia、Dubrovnik、Vienna、Baden、
Budapest、Courmayeur、Milano、Venice。
Vaseはヨーロッパを歩きながら、
海、石、植物、水、建築、風、
そして土地に積み重なった時間を受け取っていった。
旅を終え、
写真を一枚ずつ見返していくと、
土地は違っていても、
繰り返し現れる七つの光があった。
青、緑、白、金、琥珀、紫、赤。
静寂、呼吸、余白、記憶、継承、回復、再生。
それは、
ヨーロッパがVaseに残した光の記憶だった。
オパールは、光を内部に閉じ込める鉱物として知られている。 その光は、青、緑、黄、琥珀、紫、赤へと揺らぎながら、 見る角度によって異なる表情を見せる。 このVaseが宿す白は、その揺らぎを受け止めるための白である。
ムラーノガラスには Opalino と呼ばれる技法がある。 透明でもなく、不透明でもない、乳白色で霞んだガラス。 19世紀の職人たちは、オパールのような光を ガラスで再現しようとしていた。
ヴィエトリは、土、火、鉱物、釉薬の世界である。 オパールもまた、シリカ、水、地熱、長い時間から生まれる。 ガラス、釉、鉱物は、 光を受け止める表面の物語としてつながっている。
オパールは、地下水が長い年月をかけて シリカを堆積させることで生まれる。 Vichy、Baden、Budapest、Ischia。 温泉都市もまた、水が時間をつくり、 土地と身体を変えてきた場所である。
Vaseと景色を出会わせながら、
光を宿す白とは何かを
確かめていく旅だった。
海、石、植物、水、建築、風。
それぞれの土地がVaseの中に残した光は、
やがて七つの色と感覚として浮かび上がっていった。
Vaseは器であると同時に、
ヨーロッパの光を記憶した地図になった。
Vaseはヨーロッパを歩きながら、
海、石、植物、水、建築、都市の光を受け取っていった。
同じVaseでありながら、
その表情は場所によって異なる。
水の青をまとい、石の時間を映し、
風に揺らぎ、建築の色を内側へ滲ませていく。
ここに並ぶのは、
Vaseが実際に旅をし、
土地ごとの光を受け取った記録である。
都市より先に、海と水は光を教えてくれた。
エメラルドグリーンの海、
澄み切った空、
揺れる波。
幾層もの青が重なり、
透明な光がVaseを満たしていった。
浅瀬では光が細かく砕け、
水面の表情が絶えず変わっていく。
Vaseもまた、
同じ色に留まることはなかった。
風が吹くたび、
海も空も少しずつ色を変える。
その移ろいが、
Vaseの内側で静かに響いていた。
断崖に連なる街並みと、
海へ続く強い光。
自然と人の営みが重なり、
ひとつの景色をつくっていた。
斜面いっぱいに重なる建築。
色彩は太陽を受け、
海へ向かって流れていく。
Vaseもその光の流れに溶け込んだ。
運河は空を映し、
光は水面で絶えず揺れ続ける。
Vaseもまた、
その移ろいとともに表情を変えていった。
色鮮やかな建物は、
水に映ることでさらに豊かな表情を見せる。
景色そのものが光だった。
ムラーノから受け継がれてきたガラスの文化。
透明な素材は、
今日もヴェネツィアの光を宿し続けている。
古い時間の中から、新しい営みが立ち上がっていた。
廃線に戻った植物、
古い資材に新しい時間が重なる場所。
Vaseは都市がゆっくり呼吸を取り戻していく、
柔らかな緑の光を宿した。
ガラス、銀器、木、真鍮。
時代を越えて集まった素材が、
それぞれ異なる光を反射する。
Vaseは積み重なった時間そのものを映していた。
地下深くへ降りる青い光。
都市の熱を包み込む静けさ。
Vaseは都市の鼓動を、
澄んだ光として受け取った。
細い路地を抜ける光、
人々の声、
歴史が重なる街並み。
静けさと活気が、
ひとつの景色になっていた。
無数の尖塔と彫刻が、
都市の光を細かく分けていく。
古い石と現代の街が交差する場所で、
Vaseは過去と未来を同時に映した。
石は、土地に積み重なった時間を映していた。
高い窓から降り注ぐ光が、
静かに乳白の奥へ広がっていく。
石の空間に包まれながら、
Vaseは深い余白を受け取った。
柱の陰影がゆっくりと伸び、
光は空間の奥まで届いていく。
白いガラスは、
建築の静けさをそのまま映していた。
光は一点から差し込むのではなく、
空間全体を満たしていた。
Vaseは輪郭ではなく、
空気そのものを宿していた。
長い時間を刻んだ石壁に、
やわらかな光が滲んでいく。
古い建築は、
今日も新しい光を受け入れていた。
白い壁も、
石畳も、
人が歩く時間も。
街全体が静かな光となり、
Vaseへ重なっていった。
火山灰に守られた石畳。
二千年の時間が、
今日の光に照らされる。
Vaseは時間の陰影を宿した。
崩れた壁の向こうにも、
光は変わらず届いていた。
失われた都市は、
今も静かに息を続けている。
石、
空、
風。
何も語らない景色だからこそ、
時間の重さだけが残っていた。
白い石壁は、
強い陽射しをやわらかく受け返す。
その光は海と空を重ねながら、
Vaseの内側へ静かに届いていた。
城壁の上では、
海風が景色を絶えず動かしていた。
光もまた、
止まることなく流れていく。
高台から見下ろす街。
赤い屋根、
白い石、
青い海。
幾つもの色が、
ひとつの景色へ溶け合っていた。
岩の上に築かれた要塞。
自然と都市が、
同じ光を受け止めていた。
磨かれた石畳は、
歩く人の時間まで映し返す。
街は今日も、
光を積み重ね続けている。
光は表面を照らすだけでなく、素材の内側へ残っていく。
土と火から生まれた器。
釉薬は光を受け、
表面に静かな奥行きを生む。
ガラスと釉は、
異なる方法で光を宿していた。
工房に差し込む光が、
焼き物の表情を少しずつ変えていく。
素材は、
光によって完成していく。
海辺の町に広がる鮮やかなタイル。
色彩は景色を飾るだけでなく、
土地の光を映していた。
最後に残ったのは、身体が覚えている光だった。
温泉の湯気、
海風、
植物。
身体がほどけていく時間そのものが、
光になっていた。
水と熱、
自然と身体。
Vaseは島が育んできた
穏やかな時間を受け取った。
整えられた庭園と、
石造建築を包むやわらかな光。
Vaseは都市に受け継がれてきた
静かな品格を映していた。
聖堂の尖塔へ向かう光。
都市の歴史が、
空へ向かって伸びていくようだった。
湯気の向こうで光は揺れ、
水面は空の色を映していく。
Vaseは身体がほどけていく時間まで
静かに受け取っていた。
温泉建築に満ちる光は、 身体だけでなく、 気持ちまでゆるめていく。
万年雪の白、
アルプスの空、
冷たい風。
透明な空気が、
Vaseの奥まで満たしていった。
湯気の向こうに見えるモン・ブラン。
冷たさと温もり、
その両方が共存する景色だった。
海辺では、水と空の青を。
植物の中では、風に揺れる緑を。
大聖堂では、空間を満たす白を。
石畳では、時間を照らす黄金色を。
陶器の町では、土と火の琥珀を。
温泉都市では、水と湯気の紫を。
再生する都市では、新しい時間の赤を。
Vaseが宿した光は、
どの場所でも一色に留まらなかった。
海の青には空の白が重なり、
石の黄金色には植物の緑が滲み、
水の中では紫と青が揺らいだ。
透明と乳白のあいだで、
周囲の光を取り込み、
幾重もの色を奏でるガラス。
OPALESCENT。
静寂、呼吸、余白、記憶、継承、回復、再生。
七つの光は、Vaseが旅の中で受け取った景色の記憶である。
そのすべてが重なったとき、
Vaseはひとつの色へ還るのではなく、
旅でしか生まれない光を奏でていた。