静寂 Costa Smeralda / Tavolara
透明な海の光。Vaseは青に染まるのではなく、静けさそのものを宿す。
A vase travels through European landscapes.
霞がかった白を宿した、透明なVase。
その器をヨーロッパへ連れていく。
各地の光を受け、意味を帯び、景色の中に静かに溶け込むために。
この旅に同行するVaseは、
透明なガラスではない。
白いガラスでもない。
オパールのような光を宿すガラス。
透明と白のあいだにある、霞のような光。
ABUKUはそれをOpalescent Glassと呼ぶ。
内部でやわらかく滲ませる。
サルディーニャの海。 ポンペイの灰。 ヴィエトリの釉。 ブダペストの湯気。 パリの革命の火。
この旅で出会う光は、 すべてこのVaseの中を通り抜けていく。
オパールは、 光を内部に閉じ込める鉱物として知られている。 青、緑、黄、琥珀、紫、赤。 見る角度によって揺らぐ光は、 景色そのものを宿しているようにも見える。 ABUKUのVaseもまた、 光を反射するためではなく、 光を受け止めるために存在する。
19世紀ヴェネツィア。 ムラーノ島の職人たちは、 オパールのような光をガラスで再現しようとしていた。 それが Opalino(オパリーノ) と呼ばれる乳白ガラスである。 透明ではない。 不透明でもない。 その曖昧な白は、 ABUKUが目指す光とどこか重なっている。
この旅では、Vaseが出会う光に7つの意味を与える。 色は装飾ではなく、その場所が呼び起こす感覚である。
Vaseは透明であるがゆえに、場所ごとの光を受け止める。
受けた光は、静寂、呼吸、余白、記憶、継承、回復、再生という感覚になる。
意味を帯びたVaseは、風景の中で異物ではなく、その場所の一部になる。
写真は単なる記録ではなく、Vaseが景色を宿した証として残る。
オパールは、光を内部に閉じ込める鉱物として知られている。 その光は、青、緑、黄、琥珀、紫、赤へと揺らぎながら、 見る角度によって異なる表情を見せる。 このVaseが宿す白は、その揺らぎを受け止めるための白である。
ムラーノガラスには Opalino と呼ばれる技法がある。 透明でもなく、不透明でもない、乳白色で霞んだガラス。 19世紀の職人たちは、オパールのような光をガラスで再現しようとしていた。
ヴィエトリは、土、火、鉱物、釉薬の世界である。 オパールもまた、シリカ、水、地熱、長い時間から生まれる。 ガラス、釉、鉱物は、光を受け止める表面の物語としてつながっている。
オパールは、地下水が長い年月をかけてシリカを堆積させることで生まれる。 Vichy、Baden、Budapest、Ischia。 温泉都市もまた、水が時間を作り、土地と身体を変えてきた場所である。
だからこの旅は、 景色を撮る旅ではない。 Vaseと景色を出会わせながら、 光を宿す白とは何かを 確かめていく旅である。 旅が終わる頃、 このVaseは器ではなく、 ヨーロッパの光を集めた地図になっているはずだ。
ここに並ぶのは、各地でVaseが光を宿し、景色に溶け込んだ記録。 帰国後、実際に撮影した写真へ差し替えて完成させる。
透明な海の光。Vaseは青に染まるのではなく、静けさそのものを宿す。
都市に戻る植物の気配。Vaseは緑の中で、呼吸する景色に溶け込む。
工房の窓光。創造が始まる前の静かな余白を、Vaseが受け止める。
火山灰に保存された都市。Vaseの白は、灰の静けさと重なる。
土を焼き、ガラス質の釉で海を閉じ込める町。器が、もう一つの器と出会う。
湯気の向こう側にある光。Vaseは、身体がほどける時間を宿す。
革命記念日の夜。火の光は、破壊ではなく、再び作り直す力として映る。
静寂。呼吸。余白。記憶。継承。回復。再生。
旅の途中で出会った7つの光は、
色の名前ではなかった。
それぞれの土地で、
Vaseが受け取った感覚の名前だった。
そして最後に残るもの。
それは青でも、緑でも、赤でもない。
すべての光が重なったあとに現れる、
ひとつの白。
OPALESCENT。
光を宿した白。
この旅が探していた、
八つ目の光である。
7つの光を集める旅だった。
静寂、呼吸、余白。
記憶、継承、回復、そして再生。
そのすべてが重なったときに現れる、
ひとつの淡い白。
OPALESCENT
ABUKUのVaseは、
ヨーロッパの光を宿して、
旅する器になる。