ABUKU / Recovery

Recovery|Vaseは、余白と静けさを回復の構造に変える器

Vaseは、花を入れるためだけの器にとどまらない。光を受け取り、水を纏い、余白をつくり、人が心地よく居られる空気を整える仕掛けである。 都市が回復・リラクゼーションのために行っていることを、小さな器の中で静かに繰り返しているVase。 ここでは、その構造を言葉にする。

ABUKU vase

静けさは、音の問題ではない。

静けさとは、「選択されている状態」である。

余計なものが消え、必要なものだけがそこに置かれている。 そのとき、人ははじめて落ち着く。 目の前にあるものを読み切ろうとしなくてよくなり、空間に対して身構えなくてよくなる。

ここにVaseが効く。 それは主張するためのものではなく、存在することで余計なものを消す仕掛けだからだ。

ABUKU glass and flower
You do not need to understand it. You only need to stay.
ABUKU glass detail

絶え間なく、しかし不連続な光

光は止まらない。 水もまた、止まっているようで止まっていない。 そこに差し込む光は、同じ形を保たず、わずかに揺れながら空間の中に滞在する。

ABUKU glass reflection

読みきれないことが、安寧をつくる

ABUKUのゆらぎは、不連続を呼ぶ。 完全には読みきれない光、均質ではない反射、少しだけ歪んだ見え方。 そのとき脳は解釈をやめる。 そしてそれが、安寧になる。

Third Place

なぜ、そこにVaseがあるのか。

Third PlaceにVaseが置かれているのは、花を見せるためだけではない。 そこに安堵できる空気を置きたいからであり、静けさと余白を成立させたいからである。

ガラスはただ美しいだけの素材ではない。 オブジェとして眺めるだけなら機能は生まれないが、花瓶、食器、ワイングラスのように、生活の中で使われる器になったとき、 その美しさは人の心地よさを生みながら、日々の営みに寄り添う機能を持ち始める。

Vaseもまた同じである。 花や草木を空間に取り入れるとき、より自然のものがその場と調和し、人が心地よさを感じられるように、 ガラスの形や景色は考えられている。 だからVaseは、単に花を支えるためだけの器ではなく、空間と人の状態をやわらかく整えるための器なのである。

  • 花を見せるためだけではない
  • 安堵できる空気を置きたいから
  • 静けさと余白を成立させたいから
  • 美しさと機能性の両方で、生活に寄り添うから
Re-Creation City

Vase = 小さな都市装置

Vaseは、都市が回復のために行っていることを、小さな器の中でやっている。 光、水、余白、静けさ。 回復に必要な条件は、都市にも器にも共通している。

都市
  • 光を取り入れる
  • 水を扱う(温泉・噴水・海)
  • 滞在を生む
  • 回復を起こす
Vase
  • 光を受ける
  • 水を抱える
  • 余白を生む
  • 安寧を起こす
Journey

旅は、それを可視化する。

部屋に置かれた花、テーブルの小さな器、ホテルやレストランの控えめなガラス。 それらは装飾ではなく、「居心地のよい」場に整えるためにある。 旅先で器が印象に残るのは、その空間の整え方が見えてくるからだ。

  • パリの部屋
  • イタリアのテーブル
  • 小さなホテル
  • レストラン
  • サードプレイス
Journey / Cities

旅先の都市は、器の意味を可視化する。

Paris
PARIS / LIGHT / THIRD PLACE

Paris

パリは、このテーマの基準点になる都市だ。 廃線がサードプレイスとして生きている理由のひとつは、光にある。

古いガラス窓を通して入る、歪んだ、不定期な光。 ノートルダムのステンドグラスがつくる演出的な光。 そして、La Rochère のようなフランスのガラス文化が、駅や都市空間の細部にまで染み込んでいること。

パリでは、ガラスは単なる素材ではない。 人々を急がせず、行き交う中にも静けさを差し込む装置として働いている。

Rome
ROME / ORIGIN / WATER

Rome

ローマは、器と回復の原型が眠っている都市だ。 古代の人たちは理屈を知らなくても、壺、花瓶、水、光が寄与することを知っていた。

遺跡の中に残る器の痕跡、水を扱う場所、光の扱い。 そこには「なぜか安らぐ」という感覚が、説明より先に存在している。

ローマは、人が無意識に回復の構造を知っていた都市として読める。

Napoli
NAPOLI / TABLE / LIVING

Napoli

ナポリでは、器は美術ではなく生活の中にある。 テーブルの上に置かれた小さな器や水差しは、何かを誇示するためではない。

屋内と屋外がゆるやかに連続し、光も空気も人の気配も流れ込む。 その中で器は、暮らしの密度を受け止めながら、なお空間を整えている。

ナポリは、Vaseを生活の側から理解させる都市である。

Venezia
VENEZIA / WATER / REFLECTION

Venezia

ヴェネツィアでは、光と水が分かちがたく結びついている。 反射、揺らぎ、滞在。 どれも一定ではなく、読みきれない。

その読みきれなさが、人を緊張させるのではなく、むしろほどいていく。 ABUKUのガラスが持つ不連続とゆらぎは、ここで都市的なスケールを持って現れている。

ヴェネツィアは、Vaseの中で起きていることを、都市全体で見せる場所だ。

The scale is different. The structure is the same.

パリの廃線と、歪んだ光

廃線がサードプレイスとして生きている理由のひとつは、光にある。 古いガラス窓を通して入る、歪んだ、不定期な光。 それは空間を読みきれない状態にし、人を急がせない。

ノートルダムとステンドグラス

ステンドグラスは、光を演出に変える。 ただ照らすためだけでなく、空気の質を変え、感覚を整える。 それはまさに、静けさの構造をつくる行為だ。

La Rochère とシャトレ駅

1475年創業のフランス最古のガラスメーカー、La Rochère が シャトレ駅のガラスタイルに使われているのは象徴的だ。 ガラスは単なる素材ではない。 行き交う人々を安寧に導く、静けさの演出装置でもある。

旅先の器

部屋に置かれた花、テーブルの小さな器、控えめなガラス。 それらは、その場を「居られる状態」に整えるためにある。 旅先の記憶の中で器が残るのは、空間の質と結びついているからだ。

Thermal Europe

Thermal Europeとの接続

共通しているのは、水、滞在、温度、時間。 違いはただひとつ。 Thermalが身体の回復を扱うのに対して、Vaseは空間の回復を扱う。

Thermal

身体の回復。 水に浸かり、滞在し、温度と時間の中で整っていく。

Vase

空間の回復。 光と水と余白によって、空気の質が整っていく。

Jewelry is placed on the body. Vase is placed in space.

古代の人たちは、理屈を知らなかった。

彼らは、壺、花瓶、水、光が安らぎ、安寧、リラクゼーションに寄与することを知っていた。 理屈としてではなく、感覚として。 なぜかそこに安らぎを感じることを、気づかないまま信じていた。

ABUKUがやっていることは、その無意識の知恵を、今あらためて表現することでもある。

つまり、Recoveryとは何か。

それは、何かを足して充たすということより、 余計なものが消え、光と水と余白が選ばれ、そこに居心地の良さ、Third Placeの環境が整うこと。

Vaseは、花を飾るため、あるいは、 空間を埋めるためだけにとどまらない。

都市がそこに集う人々の回復・リラクゼーションのために行っていることを、小さな器の中で静かに繰り返している存在。

だから人は、理由を知らなくても、そこに安寧を感じる。

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