Thalasso Therapy
タラソテラピーは、海を“眺める”だけでなく、海を身体に取り込むための回復技術である。
海水・海藻・海洋性気候・滞在環境を組み合わせ、身体機能と心身のバランスを整える「海洋療法」。
発祥の地フランスを中心に発展してきたタラソテラピーを、歴史・代表施設・施術体系・都市回復の視点から整理します。
タラソテラピー(Thalasso Therapy)とは
「タラソテラピー」の語源は、ギリシャ語の「タラッサ」=「海」と、フランス語の「セラピー」=「療法」からなる造語で、1867年、フランス人医師ボナルディエールによって名付けられました。
タラソテラピーは、海洋性気候のもと、ミネラル豊富な海水や海藻など海の資源全般を活用する自然療法です。日本では「海洋療法」と訳されています。
海がもたらす自然の恵みを活かして、身体の内側から各機能を活性化させ、健全なる身体を「維持」、「増進」、そして「回復」させるメソッドとして、紀元前からヨーロッパで定着してきました。
一方では、病気にならないよう「予防」することを主目的としたメソッドも確立しており、発祥、発展の地フランスで、医療の一端を担いながら長い歳月をかけて各地に広がっていきました。
殺菌効果、筋肉の弛緩作用、自律神経や内分泌系機能を安定化する効果に優れ、諸症状の改善や健康増進に活用されています。
近年では、心身ともにバランスを整える作用から、ストレス解消、生活習慣病の予防、そして、美容、ダイエットなど様々な目的で発展しています。
タラソテラピーの歴史
タラソテラピーの歴史は入浴の歴史と重なり、紀元前500年以上にまで遡ります。古代ギリシャ・ローマ時代、戦争で負傷した兵士たちが温海水で傷を癒したのが始まりだと言われています。
そして、紀元前420年に医学、薬学の父、ヒポクラテスが海水入浴を提唱。海の持つ治癒力を経験値から知っていたヒポクラテスは、治療として海水の外用、つまり海水浴、そして内用、つまり飲用を実践しました。
タラソテラピーを医学的発展へ導いた人物の一人が、フランス人の科学者ルネ・カントンです。19世紀末、ルネ・カントンのもと、医師や科学者たちにより、海水の成分とヒトの血液の成分が非常に似ていることや、海水の治療効果についての研究が進められました。
同時期に、フランス人医師ルイ・バゴが、温かい海水を用いた世界初のタラソテラピーセンターをフランス・ブルターニュ(Bretagne)に開設しました。
以来、海の持つ力を利用する自然療法は、先進国フランスからヨーロッパ中に、そして世界へと広がっていきました。
なぜ、フランス・ブルターニュなのか
フランス北西部に位置するブルターニュは、大西洋に面した海洋文化の土地です。強い潮の流れ、豊かな海藻、冷涼な気候、海辺の滞在文化。タラソテラピーは、この土地の環境そのものを背景に発展してきました。
その代表的な街が、今もなお中世の面影を残す城壁の街、サン・マロ(Saint-Malo)です。海に囲まれたこの街では、海は風景であるだけでなく、身体を整える資源でもあります。
ブルターニュの名門タラソテラピー施設
1963年、格式ある老舗ホテル「ル グラン ホテル デ テルム」内に、名門タラソテラピー施設「テルムマラン ド サンマロ(THERMES MARINS DE SAINT-MALO)」は創設されました。
セラピストの高い技術力、きめ細かいホスピタリティ、テルムマランオリジナルの温海水プール「アクアトニック」。その一つ一つが高い評価を受け、今もなお「フランスの名門スパ」の名を揺るぎないものにしています。
Grand plage du Sillon BP, 32 35401 Saint-Malo, France
http://www.thalassotherapie.com
テルムマランのタラソテラピー
テルムマランのタラソテラピーは、アクアトニック(AQUATONIC™)からはじまります。
タラソテラピーの特長は、海の持つ力を複合的に組み合わせて、最大の効果を引き出すこと。その基本になるのが、テルムマランオリジナルの温海水多機能プール「アクアトニック」です。
アクアトニックは、リラックス効果の高い不感温度、33〜36℃に温めた新鮮な海水で満たされています。複数のジェットや温度差のあるゾーンを歩いて巡ることで筋肉をほぐし、代謝や血行を促進。楽しみながら高い運動効果が得られます。
- 水温・・・体温に近く、リラックス効果の高い33〜36℃
- 水圧・・・末端から心臓へ血液が戻りやすくなります。
- 浮力・・・真水よりも浮力の高い海水中では、重力から解放されリラックスします。
- ジェット・・・複数のジェット水圧が、心地よく筋肉をマッサージします。
- 抵抗・・・水中では、動きの速さに応じて負荷が得られます。
テルムマランのトリートメント
タラソテラピーは、海の資源を用いた各トリートメントの相乗効果により、新陳代謝や血行などの身体機能を高めると同時に、リラクゼーションやストレスの解消といったメンタル面にも働きかけます。
身体に負担をかけずに、無理なく行うことが基本です。休息しながら各セラピーを組み合わせて受けることで、最大の効果を得ることができます。
タラソテラピーの施術体系
代表的な施術をカテゴリ別に整理します。施設・プログラムによって呼称や構成は異なりますが、タラソテラピーは海水・海藻・気候・運動・休息を複合的に組み合わせることで成り立っています。
ハイドロセラピー(水治療法)
温かな海水や淡水を使用したトリートメントです。ジェット等の水圧によるマッサージや海水の温度差を活用した交代浴等で、血行や新陳代謝を促進します。
- サーキュレータリーシャワー・・・血流とリンパの流れを促進します。
- フローティングマッサージ・・・温海水に身を委ねながら身体をほぐします。
- ハイドロバス・・・バスタブ内でリラックスしながらの気泡浴。
- アフュージョンシャワーマッサージ・・・温かなシャワーを浴びながら受けるボディマッサージ。
▲ タラソテラピーの実際の施術環境(ブルターニュ)
▲ タラソテラピーの実際の施術環境(ブルターニュ)
キネジセラピー(運動療法)
浮力や水圧などの海水の特性を利用して、身体に負担をかけずに運動やマッサージを行い、筋や関節のバランスを整えるトリートメントです。
- ピシーナジェット・・・ジェットの抵抗を利用した水中エクササイズ。
- ピシーナリラクゼーション・・・海水の浮力に身を任せて脱力します。
- パッシブストレッチ・・・セラピストが筋肉を無理なく伸ばします。
クリマセラピー(気候療法)
海洋性気候を利用したトリートメントです。室内を海水のミストで満たして海洋性気候を再現し、呼吸や自律神経の調整にも働きかけます。
- エアロゾル・・・海水ミストを吸い込みながらリラックスします。
▲ タラソテラピーの実際の施術環境(ブルターニュ)
▲ タラソテラピーの実際の施術環境(ブルターニュ)
アルゴセラピー(海藻療法)
海藻ペーストを使用する、ボディやフェイスのトリートメントです。身体を温めて老廃物の排出を促すとともに、豊富な海藻成分が肌にハリとうるおいを与えます。
- ビオセアルゴ・・・海藻パックと温海水シャワーの相乗効果で代謝をアップ。
- マリンウェーブ・・・海藻パック後、温海水シャワーを浴びながら全身をマッサージ。
- シーウィードボディパック・・・温めた海藻を全身に塗布します。
- マリンフェイシャル・・・肌の状態に合わせたスキンケア。
- アルゴスクラブ・・・海藻スクラブで古い角質を取り除きます。
ビューティー
海藻成分を豊富に配合した化粧品を使用し、タラソテラピーで代謝を高めた後のスキンケアによって、肌を健やかな状態へと導きます。
- フェイシャルマッサージ・・・フェイスからデコルテにかけてマッサージ。
- アロマトリートメント・・・アロマオイルのマッサージで心身両面の疲れを癒します。
▲ タラソテラピーの実際の施術環境(ブルターニュ)
海を、回復のインフラとして捉える。
タラソテラピーは、単なる美容法でも、単なるスパメニューでもありません。海水を温め、海藻を身体にまとい、海洋性気候の中で呼吸し、海辺に滞在する。そこには、自然環境を身体の回復へ翻訳するための知恵があります。
Relax Planning がタラソテラピーに注目する理由は、ここにあります。海を観光資源として消費するのではなく、地域の気候・水・食・滞在・健康を結び直すことで、海辺の街そのものを回復の場として再編集できるからです。
海を、都市回復の装置として読む。
タラソテラピーは、海を眺める観光ではなく、海水・海藻・気候・滞在を組み合わせた回復の体系です。relaxation.jpでは、この視点を「Water Cities」「Thermal Europe」へ接続し、水・温度・滞在が都市文化をどう支えてきたかを読み解いています。
海から、滞在へ。
タラソテラピーは「海」を起点にした回復技術です。次は、その概念を「滞在」へ拡張した転地療法へ。
