ローマには、気取らずに立ち寄れる“ちょうどいい場所”がある。
1932年創業の老舗、CASTRONI。
高級食料品店としても知られ、お土産探しにも便利な一軒だけれど、
自分にとってはカフェとして使うのが一番しっくりくる。
席はない。
けれど、それがいい。
立ったままエスプレッソを飲み、
短い時間を過ごして、また街へ出ていく。
そのテンポが、ローマのリズムと重なる。
この場所から始まる、ローマの記憶。
夜は夜で、ストラッチ、タリアテッレ、トンナレッリ。
王道のパスタをひたすらに楽しむ。
けれど、この旅の目的は別にあった。
カラカラ浴場、トラヤヌス浴場、ディオクレティアヌス浴場。
古代ローマの公衆浴場を巡ること。
2,000年以上前、この都市にはすでに
高度に完成されたスパ文化が存在していた。
数千人を収容する温浴施設。
ドライサウナとミストサウナ。
床暖房、エステ、そしてカフェやレストラン。
身体を整えるという行為が、
都市の中に当たり前に組み込まれていた。
そして今もなお、その文化は続いている。
紀元前753年にローマは誕生した。
長い時間の中で積み重ねられてきたもの。
それが、この街の空気として今も残っている。
CASTRONIで過ごす何気ない時間も、
その延長線上にある。
ローマの日常に触れるということは、
歴史の中に自分を重ねることなのかもしれない。
Buon Compleanno, Roma.
これからも、この街は浪漫を生み続ける。
